生活習慣病

糖尿病

インスリン（膵臓から分泌されるホルモンの一種で、血液中の糖分を組織に取り込ませ、血糖値を下げる働きをする）の分泌量が減少する、あるいは分泌されなくなる、インスリンの感受性が低下することで高血糖の状態が続いている状態が糖尿病です。

私たちの血液には糖分（ブドウ糖）が含まれており、血糖と呼ばれます。血液中の血糖の量を血糖値と言います。血糖値は食事などで上昇しますが、インスリンの機能が正常に働くことで一定の値にコントロールされています。しかし、何らかの原因があってインスリンの働きが正常でなくなると、ブドウ糖はうまく処理されず血液中に残るようになり、血糖値の高い状態が続くようになります。この状態が長期的に続くと、血管などの組織がダメージを受け、体の様々な部分で合併症（糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害は糖尿病三大合併症）を発症します。また糖尿病は動脈硬化を促進させるので大血管障害（心筋梗塞、狭心症、脳卒中など）を起こすこともあります。

糖尿病は主に2つのタイプに分類されます。ひとつは、インスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊されることで発症する1型糖尿病です。もうひとつは、過食や肥満など日頃の不摂生な生活習慣が原因で、インスリンの分泌量が減少したり、量は十分でも効果が低下する、2型糖尿病（二次性糖尿病、妊娠糖尿病も含む）です。糖尿病患者の実に9割以上の方が2型糖尿病に当てはまります。

糖尿病を完治させることは困難ですが、食事療法や運動療法による生活改善、薬物療法などによって血糖値を正常に保ち、同時に体重や血圧、血中脂質も良好な状態を維持することができれば、合併症を起こさずに健康を保つことは十分に可能です。

高血圧

血圧がある一定範囲を超えて、慢性的に高い状態を高血圧（高血圧症）と言います。自覚症状が現れにくいこともあり、治療に積極的に取り組む方はあまり多く見受けられませんが、日本人のおよそ3人に1人が高血圧と言われています。

主な原因として考えられているのが、肥満・過食、飲酒・喫煙、塩分の過剰摂取、運動不足、ストレスなどです。なお高血圧と判断される数値は、外来時測定で最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上です。

血圧が常に高く維持された状態にあると、血管壁が圧力でダメージを受け続けることになり、結果として血管壁が厚く、硬くなり血管の柔軟性が失われていき、動脈硬化を招くようになります。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎臓病などを起こしやすくなります。

脂質異常症

脂質異常症とは、LDL（悪玉）コレステロールや中性脂肪（トリグリセライドなど）など、血液中の脂質の濃度が慢性的に高い状態、もしくはHDL（善玉）コレステロールが少ない状態を言います。自覚症状については、ほぼ見られません。そのため血液検査や健康診断で指摘されて初めて気づくケースがほとんどです。

コレステロールは、細胞膜・ホルモン・胆汁酸をつくる材料であり、もともと体に必要とされている物質です。ただし、これが多すぎてしまうと血管内にコレステロールが蓄積し、動脈硬化を招く（特にLDLコレステロール）ようになり、そのまま放置すると血管内腔が狭くなり、詰まってしまいます。

これが脳で起きると脳梗塞、心臓で起きると心筋梗塞を起こします。原因としては食べ過ぎによるエネルギーの過剰摂取、肥満などが考えられ、糖尿病や高血圧、腎臓病など別の病気が原因で併発することもあります。
一方で、コレステロールは少なすぎると免疫力が低下するので、様々な病気にかかりやすくなります。

高尿酸血症（痛風）

高尿酸血症とは、血液中の尿酸塩が多くなり過ぎている状態です。尿酸は水分に溶けにくい性質のため、血液中では尿酸塩として存在していますが、針状の形をした結晶であり、多くなり過ぎると体のあちらこちらに溜まっていきます。その針状の結晶が足の親指の付け根に溜まり、赤く腫れて激しい痛みを引き起こすのが痛風です。

痛風の痛みは耐えられるものではなく、多くの患者さまはこの症状が出た後に来院されます。高尿酸血症を放置した状態にしておくと、腎臓障害などを引き起こすこともあります。